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Houdiniのビルトインクラウドレンダリングは、現在のところ利用不可です。SideFXソフトウェア社は、Amazon Web Servicesと協力してビルトインのAmazon Cloudレンダリングを復活させるつもりです。
概要
従来では、スタジオが制作で忙しい時のレンダリングのピーク時間をハンドリングするために、レンダーファームを構築してメンテナンスしていました。 多くのスタジオでは、このピークとなる負荷を分散させるために十分なコンピュータをセットアップしていますが、使わないときは、ファーム上のたくさんのコンピュータがずっとアイドル状態のままになります。
個人や学生が、そのようなセットアップをすることは、非常に大きな挑戦です。 複数のコンピュータを専用マシンにし、さらに、ファームをメンテナンスするのは、実際の作業レベルからかけ離れています。
Amazon EC2のようなインターネット上のコンピュータの設備を使ってレンダリングすれば、コンピュータやラックの購入、電源の確保、温度調節、アップグレード作業、ファームの管理をすることなく、必要に応じてレンダリングのインフラを拡張することができます。必要に応じて計算パワーを支払うだけで済みます。
これによって、スタジオは、1日で終わるようなレンダリングを小さいローカルファームで計算し、それでも足りない時にはクラウドレンダリングに広げることができます。 また、個人でも、手が届かなかったレンダーファームの速度を利用できるようになります。
Cloud PropertiesウィンドウとHQueue Renderノードを使えば、Houdini内から簡単にレンダージョブをAmazon EC2の計算サービスに投入することができます。
セットアップ
Note
クラウドでレンダリングするためのHoudiniのHQueueレンダーファーム管理ソフトを インストールする必要はありません 。
Amazonのアカウント情報を1度セットアップする必要があるだけです。
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Render ▸ Cloud Properties を選択します。
これは、あなたのアカウント情報を取得して記録するためのステップバイステップのインターフェースを表示します。
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Sign Up をクリックします。 Houdiniは、デフォルトのウェブブラウザでAmazon Web Serviceの署名ページを開きます。
Amazonのアカウント(例えば、本を購入する時のアカウント)を既に持っていれば、そのアカウントで署名することができます。 署名に費用は発生せず、実際に使った分だけを支払います。
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Amazon Web Serviceに登録したら、 Amazon EC2 に署名する必要があります。
特に、HoudiniのCloud Computingツールを署名します。これは、Amazonのリストにある一般的な計算費用とは異なる料金になっています。 Houdini Cloud Computingの値段は、Amazonの使用コストとHoudiniのライセンス費用を含んでいます。
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署名したら、Cloud Propertiesウィンドウで Access Key ID と Secret Access Key を入力します。
Amazon Web Serviceのセキュリティー証明書のページが利用可能です。 Retrieve from Amazon をクリックすれば、デフォルトのウェブブラウザで、そのページが開きます。
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Passphrase を入力します。これは、Secret Access Keyを暗号化して、HoudiniからAmazonアカウントへのアクセスを保護するために使われます。
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レンダージョブの状況の更新情報を電子メールで送りたい場合は、 Email Address を入力します。
クラウド上のレンダリング
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レンダリングしたいシーンを作成します。つまり、ライト、カメラ、Mantraレンダーノードをセットアップします。
外部リソースへのパスすべて(例えば、テクスチャ)が、
$HIP
を使って、シーンファイルに対して相対パスになっていることを確認します。 例えば、$HIP/textures/wood.rat
。 Houdiniは、自動的にインターネットへ参照ファイルすべてをアップロードします。$JOB
を使えば、全体のプロジェクトのディレクトリを参照することもできます。 最初に、 Edit ▸ Aliases and Variables から$JOB
の場所を設定します。 -
ネットワークエディタで、出力レベル(
/out
)に移動し、HQueue Renderノードを作成します。 -
パラメータエディタで、 General タブの Output Driver をクラウド上でシーンをレンダリングするために使用したいMantraレンダーノードに設定します。ネットワークエディタからレンダーノードを Output Driver パラメータにドラッグすれば、迅速にそれらの設定をすることができます。
現在のところ、クラウドサーバーは、Mantra、Geometry、Compositeのレンダーノードに対応しています。
指定したレンダーノードが、依存関係のグラフの一部の場合、その依存関係がクラウド上で正常なものとして実行されます。
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Output Driver パラメータの下にある Cloud タブをクリックします。
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Machine Type (これは、レンダリングで使うコンピュータの速度、RAM、ディスク容量を制御します)と、クラウド上で使用するコンピュータの数を選択します。
パラメータインターフェースは、選択したMachine Typeと数の1時間あたりの費用を表示します。
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Render をクリックします。
Houdiniは、見つからない参照または絶対パスの参照をチェックするために、File Dependencies事前チェックインターフェースを表示します。 赤く表示されている参照は、必ずチェックしてください。 絶対参照は、このインターフェースを使って、相対参照に変換することができます。
参照のチェックが終わって、処理を進める場合は、File Dependenciesウィンドウの OK をクリックします。
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Amazon EC2クラウドのサーバーの起動、プロジェクトの投入、アカウンのチャージをするか確認するためのダイアログが現れます。クラウド上にジョブを投入するには、 OK をクリックします。
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Houdiniは、デフォルトのブラウザでウェブページを開き、ジョブの現在の状況を表示します。Amazonは、 10分以内 で、新しいクラウドサーバーを起動することができます。サーバーが利用可能になれば、ページには、アップロードとレンダリングの進捗状況のバーが表示されます。
ジョブの監視に関しては、以下のインスタンスの使用の章を参照してください。
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レンダリングが終わると、Houdiniは、出力ファイルをシーンファイルで指定した場所(例えば、
$HIP/pics/frame0001.pic
)にダウンロードします。クラウドサーバーから手動でファイルをダウンロードする必要はありません。
重要事項
HQueue Cloudツールは、自動的にレンダージョブをあなたのコンピュータからAmazonクラウドに送信するように設計されています。私達のシステムは、コンピュータがアイドル状態の時にセッションが終わると、コンピュータをシャットダウンするように設計されていますが、一度コンピュータを立ちあげると、あなたには、作業が終了した時に必ずコンピュータをシャットダウンする責任があります。迷っているプロセスがいくつかアクティブになっていれば、使っていない時にはそれを終了させる責任があります。
それゆけに、Amazon Web Services (AWS) Management Consoleをチェックして、クラウドコンピュータが適切にシャットダウンしていることを確認することは、 非常に重要 です。もうコンピュータを使わないと確信すれば、AWS Management Consoleを使って早い段階でシャットダウンすることもできます。
安全措置として、クラウドでコンピュータが実行された時を通告するように必ず電子メールをセットアップしてください。有効にすると、このオプションは、あなたにクラウドで実行しているマシン毎に約1時間につき1回電子メールを送信します。クラウドの使用に対して費用を払う時を検出するために、電子メールの通告を有効にすることを強く推奨します。
インスタンスの使用方法
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すべてのデータが暗号化されて、Amazon EC2(Side Effects Softwareを通さずに)と送受信します。Amazon EC2のインスタンスは、お互い独立しているので、他のEC2ユーザーは、あなたのデータを見ることができません。あなたのIPアドレスのみがAmazon EC2サーバーに接続することができ、サーバーは、そのIPアドレスからの
ssh
とHQueueの接続のみを許可します。 -
レンダリング時間は、1時間単位で課金されます。
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HQueueレンダーノードは、パラメータエディタの General ▸ Cloud タブで選択したインスタンスタイプに対するレートを表示します。1時間あたりの費用の内訳は、Amazonの使用費用とHoudiniのライセンス費用です。
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サーバーインスタンスは、完全に1時間単位でアクティブのままになります(つまり、レンダリングが1時間以内で終わっても、サーバーは、その残りの時間もアクティブなままです)。同じマシンスペックで他のジョブを投入すれば、Houdiniは既存の非活動サーバーを再使用します。
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複数のジョブを投入すれば、サーバーソフトウェアはそれらのジョブをキューにします。次のジョブは、現在のジョブが終わるとすぐにアップロードしてレンダリングを開始します。
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未使用のインスタンスは、自動的に1時間がすぎるとシャットダウンします。しかし、迷ったプロセスが適切にシャットダウンされているかどうか確認するためにも、あなたにはインスタンスを監視する責任があります。
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Amazonは、顧客毎に同時に使用できるアクティブインスタンスを最大20個までに制限しています。もっとインスタンスが必要であれば、Amazonに連絡することができます。
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クレジットカードは、Side Effect Softwareではなく、Amazonで決済されます。
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Amazonのウェブサービスポータルにログインすれば、使用情報と残高を確認することができます。
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Amazon EC2 Reserved Instancesを使ってレンダリングすることができますが、標準のHoudiniクラウドのレートで課金されます。Amazonへ1度Reserved Instanceを支払っても、そこにはHoudiniインスタンスを実行する費用は含まれていません。
役立つ情報とメモ
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レンダー間で変わらなかったファイルは、同じインスタンスへ再度アップロードする必要はありません。
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Houdini ApprenticeとHoudini Indieのどちらも、ローカルのレンダリングと 同じ制限で クラウド上にレンダリングすることができます。
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クラウドコンピュータは常にHoudiniの最新バージョンの 現在のプロダクションビルド で読み込まれます。 クラウド上にレンダージョブのセットアップと投入をするなら、デイリービルドではなく、現在のプロダクションビルドを使うことを推奨します。
現在指定されているプロダクションビルドは、sidefx.com/downloadで確認することができます。
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シーンでは、外部リソース(例えば、テクスチャ)が、
$HIP
や$JOB
を使って シーンファイルに対して相対パス になっていることを確認してください。例えば、$HIP/textures/wood.rat
。 -
Houdiniのコンポジットネットワークを含むRenderの依存関係は、クラウド上でも動作します。
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ジオメトリをディスクにキャッシュ化していれば、レンダリング中にジオメトリキャッシュの作成を駆動させる(Renderの依存関係ネットワーク内でGeometryレンダーノードを使用)か、または、ローカルにキャッシュを生成して、それらを参照する(それらのファイルをHQueue Renderノードを使ってアップロードさせる)かどうか考慮しておく必要があります。
ジオメトリキャッシュの生成が遅いなら、クラウド時間を減らすためにもローカルでそれらを生成したいかもしれません。 しかし、ジオメトリキャッシュが非常に大きいと、インターネットから、それらをアップロード(またはダウンロード)するコストを考慮する必要があります。
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流体、リジッドボディ、ワイヤーなどのダイナミックシミュレーションでは、HQueue Renderノードから参照したDOPレンダーノードを使って、シミュレーションファイルをエクスポートすることができます。
これは、レンダリング時にシーンファイル内のシミュレーションを駆動させるために使うことができる
.sim
ファイルを作成します。 これらの.sim
ファイルは非常に巨大になる場合があります。 別の方法として、.sim
ファイルをキャッシュ化せずに、レンダリングする度に、シーンを再シミュレーションすることができます。しかし、レンダリングが遅くなります。 一般的には、リジッドボディとパーティクル流体シミュレーションであれば、そこからジオメトリキャッシュを生成することを推奨します(なぜなら、それらのファイルは通常では小さいからです)。 -
ssh
でクラウドマシンをリモートする:-
Amazon Web Consoleの"Public DNS"フィールドから、クラウドサーバーマシン名を取得します。
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ssh
へ$HOME/houdiniX.Y/aws/username-ssh-key.rsa
(Macの場合は、$HOME/Library/Preferences/Houdini/X.Y/aws/username-ssh-key.rsa
)からキーペアを使うように命令します。
ssh -i $HOME/houdiniX.Y/aws/username-ssh-key.rsa root@address
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現在のところ、私たちは、Amazon S3ストレージサービスからの読み込み/保存をサポートしていません。
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クラウド上のレンダリングで問題に遭遇したら、Side Effects Softwareへサポートチケットを投入する時に、
$TEMP/cloudsubmit.log
ファイルの内容を含めてください。