Houdini 19.5 Solaris

LOPs入門チュートリアル

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概要

この一連のチュートリアルでは、LOPsを使った典型的なプロダクションパイプラインについて学習して行きます。 たいていの大規模スタジオのパイプラインでは、関係部署からの変更内容を非破壊的にレイヤー化して最終結果を生成したいという試みがあります。

例えば、アセット部署は、プロジェクト全体のアセットを作成します。 レイアウト部署は、シーケンスレイアウト内にそれらのアセットを読み込んでから、ショットレイアウト毎にこのレイアウトを修正します。 また、このレイアウト部署がシーン内でアニメーションの付いていないキャラクタをブロッキング(仮ポーズ)で配置すると仮定します。 さらにレイアウト部署に対して、通常作業用と承認用に配置されたライティングとトラッキングカメラを使って、これらの仮組みシーン(ブロックアウトシーン)をレンダリングさせたいです。

次に、ショット毎に、アニメータが承認されたレイアウトを読み込んで、キャラクタにアニメーションを付けていきます。 すると、レイアウト部署がその場で配置した静止キャラクタを、そのアニメーションキャラクタに置き換えたいです。

この場合では、そのアニメーションは、既存シーン(USD/LOPsで言うと“ステージ”)にレイヤー化されます。 そのため、そのシーンが非破壊的に変更されます。必要に応じてそのアニメーションレイヤーを“ミュート”にすれば、キャラクタアニメーションのないシーンを表示させることができます。

この後は、そのショットをFXに渡しましょう。 FX部署は、変更する必要のあるシーンの一部だけを取り出します。 変更が終わったら、その結果をUSDレイヤーとして出荷します。 合成ステージ(FX部署が加えた変更を既存のUSDステージ上にレイヤー化した結果)では、そのFXレイヤーは前のレイヤーよりも強く、既存のPrims(オブジェクトを意味するUSD/LOPs用語)の“上に”レイヤー化されます。 再び、アーティストがFXレイヤーなしでシーンを見たくなった場合、そのFXレイヤーを“ミュート”にすればいいだけです。 これまでUSDでは何も破壊されていません(他の部署や他の工程でレイヤーを使用することができます)。

最後に、ライティング部署がシーンを受け取ります。 ライティング部署では、すべての仮ライトを“ミュート”にしたり、本番ライトの“ミュートを解除”することができます。 これで、ライティング部署は、本番ライトを動かしたり、新しくライトを追加してシーンをカスタマイズすることができます。 シーンがあまりにも重い場合には、例えば、ライティングの調整が完了するまではFXレイヤーを“ミュート”にすると良いでしょう。

これらのレイヤーとミュートの機能によって、USD/LOPsが非常に強力で便利なパイプラインツールになります。 この一連のチュートリアルでは、段階的に(簡略化した)プロダクションパイプライン部署を通じて部署別にどのようにLOPsを使ってあなたのプロダクションパイプラインで役に立つのかを見ていきましょう。

サポートファイルのダウンロード

必要なサポートファイル(634MB)をダウンロードする必要があります。

サポートファイルをダウンロードしたら、それを解凍します。 オペレーティングシステムによっては、ファイルをダブルクリックするだけで簡単に解凍することができます。

よく$HIP/LOPS_DEMO_FILESから何かをロードするように求められることがあります。 ご存知のとおり、Houdiniで言う$HIPとは、“あなたがHoudiniを起動した場所”を意味します。 そのため、これらのチュートリアルのhipファイルを$HOME/projects/LOPSに保存する予定であれば、ダウンロードファイルしたファイルを$HOME/projects/LOPS/LOPS_DEMO_FILESに配置してください。 次に、$HOME/projects/LOPSからHoudiniファイルを読み込むと、$HIP/LOPS_DEMO_FILESに保存されているチュートリアルファイルの場所が参照できるようになります。

知っておくべき事

これらのチュートリアルは、初心者がHoudiniの最低限の事を理解していることを前提にしています(オブジェクトの作成方法、SOPsの使い方、インターフェースの理解とコンテキスト間の移動ができる事)。

USDとLOPsの基本的な概念について理解していることを前提にしています:

Note

Houdini Apprenticeライセンス所有者は、.usdncファイルにしか書き出すことができません。 このファイルは非商用バージョンのUSDで、Houdiniでしか読み込むことができません(USDに対応している他のパッケージでは読み込むことができません)。 それ以外は、フル機能です。

チュートリアル

以下は、典型的なパイプラインを通じて、LOPs/USDの使用方法について学習するチュートリアルです。

Solaris

USD

ジオメトリ

  • SOPをUSDに取り込む方法

    HoudiniがSOPジオメトリをUSDに変換する方法、その工程を制御する方法の詳細。

  • Component Builder

    Component Builderツールは、マテリアル、バリアント、ペイロード、レイヤーをサポートし、SOPからUSDモデルを作成するためのネットワークスニペットを配置します。

レイアウト

  • Editノード

    ビューア内でインタラクティブにPrimsをトランスフォームさせます。物理衝突を使用して、プロップを現実的に配置することができます。

  • Layoutノード

    インスタンス化されたUSDアセットをシーンに取り込むツールが備わっています。個々にコンポーネントを配置したり、カスタマイズ可能なブラシを使って色々な方法でコンポーネントをペイント/スキャッターしたり、既存のインスタンスを編集することができます。

  • カスタムレイアウトブラシ

    Layout LOPの挙動をカスタマイズして利用可能なレイアウトブラシデジタルアセットの作成方法。

シェーディング

  • シェーダフレームワーク

    シェーダノードのUSDプリミティブへの変換を含む、Solarisシェーディングフレームについて説明しています。

  • SolarisでのMaterialXの使い方

    HoudiniにはMaterialXシェーダノードに呼応させたVOPノードが用意されています。これらのノードを使用してシェーダネットワークを構築したり、既存のMaterialXシェーダをインポートすることで、(HoudiniのUSDレンダラーの)KarmaでMaterialXシェーダノードを利用することができます。

  • UDIM

    テクスチャ空間の異なるタイルを、それぞれ別の解像度で、異なるテクスチャファイルにエンコードすることができます。その後、kaiju.exrといったテクスチャファイル名を指定すると、Houdiniがロード時にそのトークンを特定のタイルアドレスに置き換えてくれます。

Karmaレンダリング

チュートリアル