Posted 8月 11, 2020
Share

「アナと雪の女王2」のエフェクト

クリス・バックとジェニファー・リーの共同監督作品「アナと雪の女王2」で、私たちはエルサとアナのアレンデール王国の世界に戻り、さらに、魔法の森をはじめ、新しい場所にも足を踏み入れます。この新しい冒険に取り組む Walt Disney Animation Studios は、エフェクト制作にも新しい方法で取り組みました。この記事では、「アナと雪の女王2」の制作チームに、映画で直面した様々な挑戦について語っていただきます。



流体、火、破壊など、Disney Animation がこの映画のために作成した様々なエフェクトのブレイクダウン。
CC ボタンを押して日本語字幕をオンにしてご覧ください。



雪と氷、そして……

2013年公開の映画「アナと雪の女王」では、飛躍的な進化を遂げた雪と氷のシミュレーションが活用されました。「アナと雪の女王2」では、様々な点で、エフェクトへの要求水準はより高まりました。エフェクトアニメーション部門の共同部長である Marlon West 氏はこう語ります。「課題は、壮大かつ多様なエフェクトがあり、しかもシーケンスごとに劇的に異なることでした。本作には四大元素の精霊、風の精霊、火の精霊、水の精霊、地の精霊が登場し、それぞれ個性的かつ様式化されたエフェクトから成っています。精霊のキャラクタ1つひとつに、レイアウト、キャラクタアニメーション、テクニカルアニメーション、ライティングなど複数の部門が関与する、かつてない量のコラボレーションが必要とされました。

風の精霊はその感情や思考を伝えようとしますが、それは周辺環境の要素だけで作られる必要がありました。この精霊は主に魔法の森で登場するため、アーティストは、森の樹木や葉で地面とキャラクタのインタラクションを表現する必要がありました。

エルサが作った氷の橋の破壊には、Flip シミュレーション、波のスカルプト、RBD シミュレーション、氷のモデリングが組み合わされた。

また、ノックと呼ばれる水の精霊は、全身が水の馬の姿をしています。海面上でも海面下でも姿を見せ、水から氷へと状態が変わります。火の精霊は小さいサラマンダーで、森一帯に魔法の火を点けますが、この炎は、エルサが放つ氷と作用しなければなりませんでした。地の精霊は岩の巨人で、森を移動し、岩を投げ、歩いた後には破壊が残ります。巨人たちはのちにダムを破壊し、その激流はアレンデール王国に迫ります。これらのエフェクトに加え、映画全体では、エルサの魔法が様々な形で現れました。

Walt Disney Animation Studios には、すべてのエフェクト作業を担当する、熟練者ぞろいのチームがありました。エフェクトアニメーション部門の共同部長 Dale Mayeda 氏はこう語ります。「「アナと雪の女王2」で、膨大な量の魅惑的なエフェクトを作成するにあたり、当社のエフェクトパイプラインの中核に Houdini を据えました。大規模なシミュレーションから繊細にアートディレクションされた魔法まで、あらゆるエフェクトを処理するための柔軟さと、強靭さを Houdini が与えてくれました」

「アナと雪の女王2」で技術的に最も難易度の高かったシーケンスの1つが、エルサが嵐の海面を走って渡る場面です。エルサは身長の5倍にもなる波に立ち向かい、ときには飲み込まれます。このシーケンスには一定の高さと間隔で押し寄せる波が必要だったので、シミュレーションとプロシージャルな波のサーフェスを組み合わせて作成しました。

エフェクトスーパーバイザの Erin Ramos 氏はこう語ります。「巨大なチューブ波を砕けさせるために、Houdini の FLIP で Wave Tank リグを作成し、3次ストークス波の方程式を使用してシミュレーションを実行しました。波の方程式は HDA 内の VEX でコード化されたので、エフェクトアーティストは目的の波長と振幅を入力して、シミュレーションで使用するベクトルフィールドを生成できました」

チューブ波が砕けるエフェクトは、Houdini の FLIP を使用し、Wave Tank リグで作成された。

Ramos 氏は続けます。「リアルさを一段高めるための追加レイヤーとして、Air フィールドを使って水をシミュレートしました。パーティクル密度の低いレイヤーがシミュレーションのために追加され、メインの水面から飛び散る水のパーティクルが Air フィールド内で回転するのではなく、弾道のように振る舞うようにしました。これには、変更を加えた FLIP ソルバを使用しました。低密度のパーティクルによって作成された Velocity フィールドは、パーティクルを移動させ、しぶきや飛沫などのセカンダリの要素を作成するために使用されています」

海の波の演出はショットの構図にとって重要な要素だったので、レイアウトやアニメーション作業に入る前に、ベースシミュレーションの実行が必要でした。このベースシミュレーションによって完成版に近い状態の水面ができ、エルサが走り、反応するアニメーションに迫真性がもたらされました。

シーケンスのクライマックス近くで、エルサは高さ8メートルもの波頭を走り抜けようと、巨大な氷の構造を作ります。Ramos 氏はこう語ります。「この構造は、エルサの形の魔法言語に一致するデザインをベースに、Houdini でモデリングしました。そうすることで、エフェクトアーティストはその構造が砕け、崩れる様子をより詳細にコントロールできました。FLIP シミュレーションと波のスカルプト、さらには RBD シミュレーションと氷のモデリングも Houdini で行ったことで、様々な要素をすべて効率的に統合できました。

映画のクライマックスでは、ダムが壊れ、激流がアレンデールに迫ります。この場面でも、水のシミュレーションが実行されました。水のエフェクトリード Scott Townsend 氏によると、Walt Disney Animation Studios はマルチソリューションでこのエフェクトを作成したとのことです。

「水がフィヨルドに押し寄せるショットでは、カメラを配置する前に、長さ2km、幅300mにわたるフィヨルドジオメトリで低解像度の FLIP シミュレーションを実行しました。レイアウトアーティストは物理的に正確な水のシミュレーションをもとに、押し寄せる水の最も興味深く、最も危険な側面を見せられるように、カメラ位置を決めることができます。そこから、アーティストは新たな中解像度のシミュレーションに基づいて必要な Up-res (高解像度化) ワークフローを実行し、サーフェスのディテールとレイヤー、白波の上のレイヤー、霧や波しぶきなどを追加しました」

ダムが破壊され、激流がアレンデールに迫る。画像はベースシミュレーションと最終ショット。

エルサとノックが激流の上を走るショットでは、別のアプローチが取られました。ここでの課題は、流体のサーフェスを危険なものとして見せると同時に、キャラクタを「はっきり読み取れる」ようにすることでした。そこでアートディレクションを行いやすいソリューションが採用されました。「キャラクタと一緒に移動する流体ソースをスカルプトしたことで、FLIP シミュレーションでより予測可能かつコントロール可能な結果が得られました」と、Ramos 氏。

主人公たちが魔法の森の端に到着すると、通り抜けることのできない、15メートルもの厚さの霧の壁が行く手を阻みます。エフェクトリードの Jesse Erickson 氏によると、これは FX 部門が霧のガーゼのような毛布に魔法のエッセンスをわずかに加えて作成したものだそうです。「問題はスケールでした。クローズアップでも広角のエスタブリッシングショットでも、しっかり機能する壁でなくてはなりません。霧のルックをいくつか試しましたが、その大半はシミュレーションとインスタンス化の組み合わせでした」

霧の壁を作成するために、アーティストは地形を Height フィールドに変換し、Vellum Cloth を使って地形に沿って霧のカーテンを垂らしました。Erickson 氏はこう述べています。「カーテンはポリゴングリッドとして作られたので、 Rest Length (レスト長) を変更して、上部でまとめたり、折りたためるようにしました。これはごく短時間でセットアップでき、イテレーションも迅速で、最終的な形状と適度なヒダの間隔を得ることができました。その後、原点で多量の擾乱 (Disturbance) と方向のフローを使って、1000フレームの Pyro シミュレーションをいくつか生成しました」

アーティストは地形を Height フィールドに変換してから、Vellum Cloth を使ってカーテンを垂らすことで、魔法の森を霧のカーテンで覆った。

Erickson 氏は、選択したワークフローで便利だったこととして、各シミュレーションに、移流パーティクルの bgeo シーケンスがあり、それをスパークルのパスとして別途レンダリングできたことだと述べています。「インスタンスしたパックプリミティブワークフローを使おうと計画していたので、VDB と bgeo のシーケンスは、ファイル拡張子を除けば同じパスでした。つまり、フレームのオフセットを適用し、パックボリュームインスタンスを配置すれば、Packed Disk プリミティブファイルの拡張子を変更するだけで、ボリュームキャッシュが適切なパーティクルキャッシュに変換されます」

アーティストはまた、カーテン形状の曲率を計算し、折り重なった部分や裂け目に発光ボリュームを生成したり、インスタンス化されたシミュレーションの隙間部分に背景を作成することもできました。「これらのショットで主に時間がかかったのはレンダリングだったので、非常に柔軟かつインタラクティブなイテレーションがフリップブックで可能でした」と、Erickson 氏。

霧の壁がエスタブリッシングショットに適した形状に仕上がると、次にチームが集中したのはその開け方です。アート部門から渡された、ショットのキーがベースです。それをもとに、エフェクトアニメータの Bob Bennett 氏と Dimitre Berberov 氏が何層にも重なったカーテンの開閉に取り掛かりました。Erickson 氏はこう語ります。「このアニメーションにはボリュームとパーティクルインスタンスがあるので、追加の Pyro シミュレーションをカーテンの端から実行し、統合してさらに見栄えを良くしました」

Foundation Effects の役割

Walt Disney Animation Studios は、Foundation Effects ツールスイートの TempFx ツールを使用し、Houdini のリグ付きアセットとして低解像度の水のプロキシを作成しました。部門をまたがる早期コラボレーションの一環として行われたもので、これには水の FX の生成などが含まれていました。エフェクトリードの Ian Coony 氏はこう語ります。「このオプションがあることは、とても重要でした。レイアウト部門やアニメーション部門は、カメラやキャラクタを構成し、水のエフェクトを簡易的に GL で可視化することができました」

「特に役に立ったのは、ダークシーのうねる波の上を走るエルサのキャラクタとのインタラクションでした。キャラクタアニメータは、水上での足の位置を参照できました。リグを作成したら、調整可能な TimeShift コントロールを組み込んで、ショットごとにタイミングを調整できるアセットとしてパブリッシュしました」

Coony 氏は続けます。「同様に、このアプローチは、峡谷での激流の早期シミュレーションにも役立ちました。峡谷のセットのスケールは、入念に検討しなくてはなりません。最初の FLIP シミュレーションが戻ると、水の速度に問題があることが分かりました。モデリングした最初のスケールを50%縮小しました。水の速度が適切になったら、水のアセットはレイアウト部門に渡されて、カメラの配置が検討されます」

ノックの作成

ノックのデザインとアニメーションでは、まず馬の動作を観察しました。エフェクトリードの David Hutchins 氏が特に注意したのが感情の状態です。Hutchins 氏はこう語ります。「目標は、アニメーションで作成した繊細な表情、ポーズ、ジェスチャーを維持しながら、水らしい動きや光の反応を重ね合わせることでした

エフェクトアーティストは作業を始めるにあたり、キャラクタアニメーション部門から提供されたノックのボディモーションと、テクニカルアニメーション部門からのたてがみと尾のカーブを使用しました。たてがみと尾のカーブを POP シミュレーションのソースとして使用し、POP VOP として実装され、隣接するパーティクルの局所的な分散から算出されたフォースベクトルを使って流体のような動作をモデリングしました。

ノックはアニメーションチームと FX チーム間の密接なコラボレーションによって実現

「このベースシミュレーションは、3つのレンダリングレイヤーに使用されました。Particle Fluid Surface を使用してメッシュされ、水のマテリアルでシェーディングされたレイヤー、ボリュームにライスタライズされ、ボリュームシェーダでレンダリングされたレイヤー、そして分離した小さい水滴の不透明なポイントとして直接レンダリングされたレイヤーです。最終的に、これらのポイントをソースとして使用し、Pyro シミュレーションを実行して非常に軽量の「波しぶき」のパーティクルをモデリングしました。またこのパーティクルは、不透明なサブピクセルポイントとしてもレンダリングされました。ボディサーフェスのジオメトリは、流体力学のモーションに対応する解像度に再メッシュされ、レイヤーノイズおよび/または Ripple Solver (ボディモーションに反応したり、交差するオブジェクトに衝突する) を介して波紋が追加されました。ボディ内側には、アルベドや発光の影響度を定義するベクトルフィールドを含む、表示従属のボリューム構造を追加しました」と、Hutchins 氏。

ひづめと海面とのインタラクションも重要な焦点でした。Walt Disney Animation Studios には、デザインの目標がありました。形のある物体と水とのインタラクションではなく、水と水とのインタラクションのルックをサポートすることです。「アニメータたちが脚を崩し、変形し、引き伸ばしたら、次は私たちがこのコンセプトにさらに補強します。特に注意したのは、脚からしたたる水の形状でした。再サンプリングと NURBS への変換によって、たなびくカーブを平滑化し、パーティクルソースの形状を変更して対応しました」と、Hutchins 氏。

ノックが水から氷に変化するショットでは、2つのテクニックを使用しました。まずは水中で、散在するポイントにインスタンス化したアニメーションジオメトリを適用することで、ボディサーフェス内部で氷の結晶が大きくなり始める様子を表現しました。その後、Solver SOP で生成したマスクによって水から氷のマテリアルに変化します。

「氷の結晶のパターンについては、ルックデベロップメントから渡されたものを、エルサのシンボルである雪の結晶に合わせて調整しました。上記の水の例では、Solver SOP によって生成した連結マスクでエフェクトを作成しました。それはまた、水から氷のマテリアルへの変化のライティングに使っています。Pyro シミュレーションによる氷の結晶と水蒸気の移流が、この変化をいっそう強化しています」

David Hutchins 氏、FX リード

火の精霊と森の火

「アナと雪の女王2」のもう1つの魔法要素は、火です。火の精霊と、森が燃えるショットに登場します。燃える森を作成するため、アーティストはまずテクニカルディレクタ (TD) チームと協力してパイプラインを最適化し、事前に火を設定した木のアセットライブラリを使用できるようにしました。

その後、通常であればパイプラインで何段階か離れているレイアウトアーティスト部門とエフェクトアーティスト部門が、魔法の森の火に取り組むために、プロダクョンの早期で密接にコラボレーションしました。エフェクトリードの Marie Tollec 氏が説明します。「レイアウトチームは、エフェクトアーティストがショットに火を実装するのを待つのではなく、プロダクションの早いうちに、火が発生する場所や燃える木を可視化できました。この結果、レイアウトアーティストは、カメラを適切に配置して、面白い構図のフレーミングをしたり、どの木が燃えるのかを自分たちで決めることができ、エフェクト部門がパイプラインの後工程でこの作業を行う必要がなくなりました」

これを可能にしたのは、Firestarter (ファイヤースターター) と名付られた TD チームが Python で開発したツールです。レイアウトアーティストは、ビューポート選択によって、火を付ける木をハイライトできます。ハイライトされた木は Maya のビューポートではピンクで表示され、それを使ってレイアウトが承認されます。エフェクト部門では、それぞれの木の原点で Pyro を使用し、Houdini でシミュレーションを作成しました。その後、Hyperion シェーダマテリアルや残り火に使用したパーティクルと一緒に、炎の VDB がパブリッシュされました (Hyperion は Walt Disney Animation Studios 独自開発のレンダラです) 。

「このようにして設定された炎は、パイプラインのアセットレベルでパブリッシュされます。つまり、所属部門を問わず、木を扱うアーティストは、アセットリストから 3D シーンにドロップするときに、炎の全情報を含むバージョンの木を選択できるわけです」

Marie Tollec 氏、FX リード

このように準備された炎は、その後エフェクトアーティストが追加したカスタム Pyro シミュレーションで補完されました。シーンのエレメントやキャラクタとのインタラクションはシミュレーションされ、エルサの魔法によって「消火」されます。Tollec 氏によると、映画のプロダクションデザイナと共同で作業を進めたチームは、炎をより魔法らしいルックにすることを思い付き、Heat (熱) フィールドをリマップして紫やマゼンタの色相に近づけたそうです。

最後は、サラマンダーの姿をした火の精霊です。感情が高ぶったときにだけ起きる残り火には Pyro シミュレーションを使用しました。「サラマンダーのマテリアルは、高ぶっている (火が付いている) ときと、平静なときの2つのバージョンがありました。シミュレーション自体は動いているサラマンダーに対して実行され、極端すぎる動きに対しては従来のテクニックで動きを事前に減速/最小化しました」と、Tollec 氏。

風の精霊ゲイル

「アナと雪の女王2」に登場する精霊はたいがい、実際に「目に見える」何らかの形をとっています。しかし風の精霊のゲイルは、その性質上「目に見えない」設定で、周りの環境に作用するものとしてのみ現れます。これを可能にするためには、Walt Disney Animation Studios でかつてないレベルでの環境アセットをアニメートしなくてはなりませんでした。

プロセスを開始するにあたり、ゲイルが環境に作用する位置、方向、幅、長さを可視化できる Maya のリグがキャラクタアニメータに渡されました。エフェクトリードの Ben Fiske 氏はこう説明します。「アニメータの多くは、このリグを他のキャラクタと同じようにアニメートしましたが、VR 対応のリグも用意されていて、シーンに直接没入して、ボディモーションだけでアニメートする人もいました。その後、インタラクションを制御する共通の Point アトリビュートを含む bgeo として、カーブを書き出しました」

ゲイルの印象を表現するためには、FX チームと環境チーム間での密接なコラボレーションが求められました。「環境は、様々な独自開発のプロシージャルを使用して作成され、フォーマットもそれぞれ異なりました。しかし、最終的には、いずれも bgeo としてディスクに保存されるジオメトリデータを指すフックが含まれていました。Disney の CAF フォーマットと同時に bgeo も保持していたことから、エフェクトアーティストはカスタム OTL を使用し、遅延ロードパックプリミティブによって環境全体のインスタンス化したプロシージャル環境アセットを素早くロードしたり、アニメートしたり、パイプラインに書き戻すことができました」と、Fiske 氏。

「パックプリミティブの使用により、操作するデータセットは非常に軽量になりました。殆どの場合、落ち葉や単純な植物のアセットは植物ごとにポイント1つでアニメートでき、アンパックすら不要でした。アーティストは POP などの DOP ソルバ、場合によっては新しい Vellum ソルバ、を活用できたので、素早いイテレーションと非常にシンプルなアプローチが可能になりました」

Ben Fiske 氏、FX リード

映画におけるゲイルの存在は、竜巻だったり雪を巻き上げる突風として現れます。竜巻の外観は、Houdini の Pyro ソルバを使用し、さらにインスタンス化したボリュームや Debris (瓦礫) を SOP コンテキストで操作して作成しました。「竜巻の漏斗状の内部を見せるショットでは、このインスタンス化したボリュームや Debris (瓦礫) に SOP を用いるワークフローのおかげで、ショットに重要な速度、量、ストーリーのポイントについて明確なアートディレクションを行えました」と、Fiske 氏は続けます。

また、ゲイルが雪の結晶に作用するショットでは、アーティストは、原点で渦巻く Pyro シミュレーションを行ってポイントを移流させ、アニメーション部門から渡されたデータをもとに Point Deform で変形させました。「その後、ポイントは雪の結晶やより小さい微粒子としてインスタンス化され、ベースの Pyro シミュレーションを使用して追加のボリュームパスが重ねられました。複雑に見える問題に対する、シンプルなソリューションです」と、Fiske 氏。”

アースジャイアント

巨大な岩のような姿をした地の精霊は、アニメーション部門と FX 部門の連携で実現したキャラクタです。Fiske 氏によると、ゲイルのために木や植物のアニメーションで行った成果を活用できたそうです。たとえば、Houdini の Vellum ソルバによって拘束されたカーブの利用です。アーティストはそのアイデアを拡張し、SOP で自動化リグを構築して、それぞれの巨人の足跡を追跡しました。

「この足跡を利用して、広がる波紋をインスタンス化しました。その結果、すべての植物のリグに下向きに振動するフォースを適用し、強度を減少させると同時にタイミングもオフセットできました」と、Fiske 氏。

アースジャイアントおよび、彼らと森の環境とのインタラクションには、巨人の足跡を追跡する SOP の自動化リグを活用。

木を揺らすだけでなく、巨人たちと周りの森林とのインタラクションも多くあります。森林のインタラクションには、ゲイルで確立させた Vellum カーブベースのワークフローを用いました。これにより、枝とアースジャイアントが直接衝突できるようになりました。一方で、モデリングした木の幹には拘束および分割された RBD をセットアップし、完全に変形可能な木のシミュレーションを実行できました。

「このほかにも、枝に十分なフォースを適用してから木の葉を落とすロジックを追加してから、POP でシミュレートしました。これらすべてがかみ合うと、怒って歩き回るアースジャイアントがダイナミックな森にもたらす混乱を、葉っぱ1枚に至るまで表現できました」と、Fiske 氏。

破壊 FX

ダムのシーケンスでは、Walt Disney Animation Studios は、激流だけでなく破壊もシミュレートする必要がありました。「ダムの破壊は映画のクライマックスになるので、複雑なワークフローを構築し、適切にセットアップしなければなりませんでした。ビジュアルデベロップメント、モデリング、レイアウト、エフェクト、アニメーション、そしてライティングと、ほぼすべての部門が関与しました」と語るのは、Marie Tollec 氏。

このシーケンスではエフェクトが非常に多く使用されたので、ダムを破壊するためのワークフローには、本作の大半のシーケンスとは違ったアプローチが必要でした。ダム崩壊のエフェクトや方法は、レイアウトとカメラの配置に影響するだけでなく、アニメーションを付ける前に決める必要があります。この順番なら、ダムの上を走るアナを崩れていく周囲環境に反応させ、彼女の足をダムに接地させられます。

ダムの崩壊には、長さ2km、幅300mのシミュレーションが必要だった。

「このワークローのおかげで、キャラクタの感情をとてもうまく演出し、モデルの構築と破壊を最適化できました。ダムは複数のショットに登場するので、クローズアップとロングショットの両方に最適化することが重要でした。モデルはまた、ピースごとにサイズ、テクスチャ、ディスプレイスメント、コケ、構造物の傷が独自の組み合わせになるようにデザインされました」と、Tollec 氏。

リジッドボディシミュレーションが監督から承認されると、レイアウト部門でカメラの再調整が行われ、キャラクタアニメーション部門とテクニカルアニメーション部門に回され、それからエフェクト部門に戻ってきました。「水のシミュレーションに並行して、セカンダリの埃、瓦礫、微粒子を追加しました。殆どの場合、水のシミュレーションは破壊の後で実行され、水が RBD に反応し、その反対にはならないようにしました。アクションが連続していたので、複数のショットにまたがる長いシミュレーションを実行することで、シミュレーションを最適化できました。エフェクト部門の両部長が事前にラフプリビズを作成し、シーケンスのイベントとタイミングを演出していたことも、良い結果につながった要素です」と、Tollec 氏は続けています。

氷の幻影

「アナと雪の女王2」の2つのミュージカルシーケンス、「イントゥ・ジ・アンノウン」と「みせて、あなたを」では、エルサの魔法エフェクトの別テイクが必要でした。その中でエルサは、不思議な力が示す、自然の要素と来るべき出来事の前兆に幻惑されます。

エフェクトリードの Alex Moaveni 氏が語ります。「このシーケンスのエフェクトは、特定の振る舞いをさせる必要があったので、プロシージャルとキーフレームアニメーションテクニックを併用しました。シカや木といったコンポーネントごとにアニメーションを調整した後、Python スクリプトや当社独自のシーンアーカイブ分散システムである Toolshed を使ってスケールアップしました」

「これらのエフェクトに手描きアニメーションの味わいを加えるために、Houdini の Stroke SOP を Python でラップしたロトメーションツールセットを開発しました。カーブやサーフェスをネイティブでアニメートすることで、一貫した UV にインスタンスポイントを乗せられました。これは、モーションコントロールの点で重要でした」

Alex Moaveni 氏、FX リード

「アーティストが個々のポイントをキーフレーム設定したショットもいくつかありますが、それ以外では疑似 POP のような方法でプロシージャル VEX メソッドを用い、正規化した age アトリビュートを使ってカーブやサーフェス上の位置をサンプリングしました。また、リアルタイムでスクラブしたり、ランプやカーブ関数を使用してポイントの見かけ上のエネルギーを制御するといった方法も便利でした」と、Moaveni 氏は続けます。

エルサの魔法

困難なエフェクトが様々ある中で、ストーリーテリングにおいて重要な役割を果たすのは、やはりエルサの魔法です。「初期のシーケンスでの軽やかでいたずらな魔法から、魔法の炎を消したり、ダークシーで命がけで戦うときの力強い魔法まで」、エルサの魔法はバラエティに富んでいると語るのは、エフェクトリードの Thom Wickes 氏です。

魔法のエフェクトはバラエィに富んでいたため、より柔軟なモジュール方式のツールセットの採用が不可欠でした。「大半の魔法のエフェクトは基本的には SOP ベースで、エフェクトのブロッキングにはシンプルなジオメトリを用いました。軽やかな動きのエフェクトにはカーブ、爆風のように強力なエフェクトには大きい円錐形を使用しました。このワークフローにより、エフェクトアーティストは最終データを生成する前に、配置や形状、タイミングに集中できました」と、Wickes 氏。

エルサの魔法を表現する氷の幻影には、手描きアニメーションの味わいが加えられた。

Wickes 氏は続けます。「軽やかで楽し気な魔法には、POP でカーブに沿って動くパーティクルの雪の結晶に、霧と柔らかな輝きのボリューム要素を追加しました。爆風のような魔法は、プロシージャルなノイズベースのテクスチャボリュームが、変形した座標空間を移動するようにしました。このデータを使用して、追加の霧、パーティクル、霜のマテリアルオーバーライドを生成しています」

エフェクトとストーリーテリング

「シュガー・ラッシュ:オンライン」「モアナと伝説の海」「ズートピア」「ベイマックス」といった最近作の例にもれず、Walt Disney Animation Studios は、「アナと雪の女王2」でも進化し続ける FX 機能を積極的に取り入れました。制作チームの皆さんがここで語ってくれた取り組みに加え、スタジオ全体が協力して新たなアプローチに挑戦したことで、作品にふさわしいエフェクトが実現しました。




コメント

Please log in to leave a comment.